無期転換ルールについて

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無期転換ルールについて

無期転換ルールとは、有期雇用契約が5年を超えた従業員から申し込みがあった場合に期間に定めのない無期雇用契約に転換する制度のことです。2013年4月に施行された改正労働契約法によって、企業は従業員から無期転換の申し込みがあった場合、やむを得ない理由がない限り拒否することはできません。

 導入された背景

 無期転換ルールが導入された背景は、有期雇用契約の従業員のうち約3割が通算5年以上働いており、既に定着した状況に合わせた環境整備が必要となったことからです。従業員の無期転換の申し込みを拒む目的で「無期転換ルールが適用される勤続5年の直前に急に従業員を雇い止めにする」といった対応は労働契約法違反となります。

無期転換できる従業員の条件

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1. 有期雇用契約の通算が5年を超えている

 無期雇用契約へ転換できるのは、同一の企業で有期雇用契約が通算して5年を超え、かつ1回以上更新している人です。現在の契約期間がもし1年の場合は5回目の更新後の1年間の間に、契約期間が3年であれば1回目の更新後の3年間の間に申込権が発生します。

また、有期雇用契約と有期雇用契約の間に雇用されていない期間(クーリング期間)が6カ月以上あると、通算対象から除外されます。

※通算契約年数によりクーリング期間は変わってきます。

2. 同一の使用者と現時点で契約している

無期転換の申し出には、通算5年を超えて契約してきた事業主との間で、現在も有期雇用契約が締結されていることが前提となります。

無期転換の申込権発生を免れるために事業主が雇用形態を派遣や請負に偽装して、他の使用者に契約を切り替えていたとしても、「同一の使用者」の要件は満たしていると判断されます。この場合、従業員から無期転換の申し込みがあれば、事業主は拒否出来ません。

【無期転換ルール ハンドブック(厚生労働省より)】

 無期転換ルール Q&A

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 無期転換ルールについて、よくあるご質問にお答えします。

通算契約期間は、平成25(2013)年4月1日以降に開始した有期雇用契約からカウントします。
例えば、平成24(2012)年6月1日から1年間の有期雇用契約を締結し、更新を繰り返している方は、平成24(2012)年6月1日~平成25(2013)年5月31日の契約期間はカウントされず、平成25(2013)年6月1日に開始した有期雇用契約を起点にカウントします。

Q1  無期雇用契約に転換される労働者のために、あらかじめ就業規則等を整備する必要はありますか。

無期転換ルールによって、契約期間は有期から無期に転換されますが、無期転換後の給与などの労働条件は、就業規則等で別段の定めがある部分を除き、直前の有期雇用契約と同一の労働条件となります。したがって、無期雇用契約に転換された労働者に対して、どのような労働条件を適用するかを検討した上で、別段の定めをする場合には、適用する就業規則にその旨を規定する必要があります。ただし、無期転換に当たり、職務の内容などが変更されないにもかかわらず、無期転換後の労働条件を低下させることは、無期転換を円滑に進める観点から望ましいものではありません。また、特に定年など、有期契約労働者には通常定められていない労働条件を適用する必要がある場合には、適切に設定の上、あらかじめ明確化しておく必要があります。

Q2  無期転換の申込みについて、原則として有期雇用契約の期間が満了する日まで権利が行使できることを労使で確認した上で、合理的な長さの申込期間を設定すること(例えば、就業規則で契約期間満了の1ヶ月前までと定めること等)は可能でしょうか。

後任者の採用など企業の人事労務管理上の必要性から、無期転換の申込みの期限について、就業規則等で「無期 転換の申込みは契約満了日の1ヶ月前までに行うこと」などと定めること自体は禁止されていません。  ただし、法律上は、「契約期間が満了する日までの間に」無期転換の申込みをしたときは、無期契約が成立するこ ととされていることから、就業規則等で上記のような申込期限を定めた場合であっても、労働者がその期限までに その真意に基づいて無期転換申込権を行使しない旨意思表示した場合は別として、契約期間の満了日までに労働者 が無期転換の申込みをした場合については、その申込みが有効とされる可能性もあると考えられます。  なお、就業規則の制定・変更により申込期限を定める場合は、その就業規則を労働者に周知させ、かつ、その定 めの内容が合理的である必要があることに留意が必要です(労働契約法第7条、9条、10条参照)使用者が有期雇用契約の更新を拒否した場合(雇止めをした場合)、労働契約法第19条に定める雇止め法理により、一定の場合には当該雇止めが無効となる場合があります。また、無期転換ルールを避けることを目的として、無期転換申込権が発生する前に雇止めをすることは、労働契約法の趣旨に照らして望ましいものではありません。有期雇用契約の満了前に、更新年限や更新回数の上限などを一方的に定めたとしても、雇止めをすることは許されない場合もありますので、慎重な対応が必要です。

Q3  無期転換申込権が発生する前に、社員を雇止めすることはできますか。

使用者が有期雇用契約の更新を拒否した場合(雇止めをした場合)、労働契約法第19条に定める雇止め法理によ り、一定の場合には当該雇止めが無効となる場合があります。また、無期転換ルールを避けることを目的として、 無期転換申込権が発生する前に雇止めをすることは、労働契約法の趣旨に照らして望ましいものではありません。 有期雇用契約の満了前に、更新年限や更新回数の上限などを一方的に定めたとしても、雇止めをすることは許され ない場合もありますので、慎重な対応が必要です。

Q4  労働者から無期転換の申込みがありましたが、必ず無期転換しなければならないのでしょう か。会社としてこれを拒否することは可能でしょうか。

通算契約期間が5年を超える有期契約労働者が、現に締結している有期雇用契約の契約期間が満了するまでの間 に、無期転換の申込みをしたときは、使用者はこの申込みを承諾したものとみなされ、申込みの時点で、申込時の 有期雇用契約の契約期間が満了する日の翌日から労務が提供される始期が付された無期雇用契約が成立します(労働契約法第18条第1項)。したがって、会社は無期転換を拒否することはできません。

Q5  労働者から無期転換の申込みがありましたが、必ず無期転換しなければならないのでしょうか。会社としてこれを拒否することは可能でしょうか。

会社は無期転換を拒否することはできません。会社が無期転換を認めず、現在締結している有期雇用契約の満了 をもって有期雇用契約関係を終了させようとした(雇止めしようとした)としても、その雇止めをもって当然に無期転換申込権の行使により成立した始期付無期雇用契約を解約(解雇)することにはならず、無期雇用契約の関係 は終了していないと考えられます。  また、有期雇用契約だけでなく始期付無期雇用契約の関係も終了させようと解約(解雇)を申し入れたとしても、 この解雇が「客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められない」場合には、権利濫用に該当する ものとして無効となるとされています。(労働契約法第16条)  さらに、有期雇用契約の解約(解雇)が有期雇用契約の期間中に行われた場合には、やむを得ない事由がない限り認められず、無効と判断される可能性は無期雇用契約の解雇より高いと考えられます。(労働契約法第17条)なお、労働者が無期転換の申込みをしたにもかかわらず、無期転換をさせないために労働者を雇止め・解雇する ことは望ましいとは言えず、仮に裁判になれば無効と判断される可能性は高いと考えられます。

Q6  60 歳定年後に有期雇用契約で継続雇用している労働者を、65 歳(通算5年)を超えて契約更新した場合、この労働者は無期転換の申込みができるのでしょうか。

定年後に引き続き雇用している有期契約労働者についても、同様に無期転換ルールは適用となります。  ただし、適切な雇用管理に関する計画を作成し都道府県労働局長の認定を受けた場合には、特例として、その事 業主に定年後引き続き雇用される期間は、無期転換申込権が発生しないという有期特措法(専門的知識等を有する 有期雇用労働者等に関する特別措置法(平成26年法律第137号))の制度もあります。  なお、有期契約労働者が、既に企業等において定めている定年の年齢を超えた後に無期転換申込権を行使した場 合(例:60歳定年制の企業において、62歳に通算5年を超える有期契約労働者が無期転換申込権を行使した場合な ど)についても、同様に無期転換ルールは適用となります。この場合、上記定年が、定年の年齢を超えた後に無期 転換した労働者に当然に適用されるわけではないことに注意が必要です。

※次回のブログは、Q6の赤文字で記載の有期特措法(専門的知識等を有する 有期雇用労働者等に関する特別措置法(平成26年法律第137号))の制度深堀していきたいと思います。

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【無期転換ルール ハンドブック(厚生労働省より)】

https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000518484.pdf

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